【ネタバレあり】『P5S』を語る

『ペルソナ5』の続編『P5S』を遊んだ僕は「ネタバレなし」の記事を書いた。

しかしネタバレなしの範疇で感想を語ろうとすると、ストーリーやキャラクターの掘り下げができなくて、もどかしい気持ちになる。

「やっぱり、もっと『P5S』を語りたい……」

ということで「ネタバレあり」の『P5S』感想をこの記事にぶつけていきたい。

注意

本記事は『ペルソナ5 スクランブル ザ ファントム ストライカーズ (P5S)』のエンディングまでのネタバレを含むので、ネタバレを見たくないあなたはブラウザバックを推奨します。

 

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感想(レビュー)

補足

『ペルソナ5 スクランブル ザ ファントム ストライカーズ』動画・生放送等配信ガイドラインのお知らせ の記載に準拠し、深淵のジェイル攻略後以降の感想は書かないことにする。

ストーリー

ストーリーで印象に残った場面について語る。

渋谷

ソフィアとの出会い

「人の良き友人になる」とプログラムされたAI『ソフィア』。

人の心について学習し始めたばかりなので、怪盗団が『柊アリス』の改心方法の話し合いで「アリスを倒すのが最善の手段なのに何故そうしない?」旨の発言をするが、怪盗団メンバーが原点に立ち返り、優しくソフィアに説明する様子は「怪盗団、頼もしくなったな……」とほっこりする場面。

 

高巻杏と柊アリス

渋谷ジェイルの見所は、杏ちゃんの活躍。

主人公たちが『ジェイル』に迷い込んだことを他の怪盗団メンバーに報告したとき、杏は柊アリスが王であることを一番信じられてなさそうだった。

主人公とアリスが出る生放送のテレビ観覧に行き、アリスの「誰かの光になりたい」の言葉に強く共感する杏。

しかし、MC告白騒ぎのあった生放送後にアリスのマネージャーいじめの現場を目の当たりにしたことをきっかけに、自分と同じ志を持っていたはずのアリスを改心させることを決意。

そこからの杏は「アリスを助けたい」一心で一本気がある言動が増える。予告状の文言も担当。

最後の柊アリスを諭す場面は、前作の鴨志田のオマージュに近い。

しかし今回は完全な悪党ではないので、厳しいことを言いつつも最後は「だって私…同じ夢を持っている柊アリスが大好きなんだから!」と優しく寄り添う杏ちゃんに前作からの成長を感じつつ感動した……

アン殿……

 

仙台

一ノ瀬久音との出会い

牛タン屋で出会ったテンション高めの女性『一ノ瀬久音』。

近衛明の講演で怪盗団だとバレてしまったときに、特になにも考えずにストーリーを進めていたけど、『EMMA』の生みの親という時点で怪しかったね……

 

怪盗団にイジられる善吉

「オジさん」呼ばわりされ続けたり、予告状を夏芽安吾のイベント会場に貼る役割をさせられたりと、怪盗団との取引とは言え、散々な扱いをされているのに笑ってしまった。

でも、若者の中にいるオジさんの扱いがあんな感じになるのはしょうがない(笑)

 

夏芽安吾と喜多川祐介

仙台では祐介の見せ場が多い。

小説家と画家、ジャンルこそ違うものの創作の道を生きる者として祐介は夏芽に思うところがあるのだろう。

トラウマルームで夏芽のトラウマを知り、創作にかける思い、孤独との戦いに共感する祐介。

仙台ジェイルを攻略する限りでは、夏芽の作品は稚拙だし、トラウマルームの編集者の言う通り小説家の才能はないから、救いようがないと思ったプレイヤーも多いだろう。

だから、シャドウアンゴの「俺の努力を認めてくれ」に対しても共感はしづらいと思う。

しかし、祐介の

「俺が認めてやる。」

「お前が必死に小説を書いてきたことを、俺が認めてやる。」

という言葉は、稚拙な作品だったかもしれない、でも孤独に創作に打ち込んだ者の再起の支えになっていくであろう言葉であった。

 

札幌

氷堂鞠子と奥村春

「杏ちゃんと祐介が王を諭していたから、次は真かな?」と思っていたら、まさかの春。札幌市長でジェイルの王『氷堂鞠子』と前作で登場した春の父親『奥村邦和』のゆかりのある人物で、幼少期の春とも会っており交流もあった。

氷堂鞠子本人と会うまで、幼少期に大好きだった氷堂のことを思い出せなかった春は、自分が思うよりもずっと父のことを引きずっていたと自覚し、思い悩み続ける。

予告状を出す前日の深夜も主人公を夜に呼び出して複雑な胸中を語る場面も。

しかし、昔の氷堂の教え

「これから辛いこともたくさんあるかもしれない。」

「だけど立ち上がれば何度だってやり直せる。それを忘れないでね。」

を思い出し言葉の意味を理解した春は、その教えを氷堂に伝えることを決意。

そんな春が「(政治家を続けることは)無理よ…」と弱気になるシャドウ氷堂に言った

「…立ちなさい、氷堂鞠子!

は、いかにも春らしくかつ彼女の成長を感じるセリフでカッコいい。

普通の人が言ったらイタい感じになるけど、春が言うからこそ名言になる。現実世界に戻ってきた後、双葉にその発言をイジられて恥じらうところがかわいいのも含めていい!!(オタク特有の早口)

杏が「あはは、フツーにカッコよかったよ?私、感動したもん。」って言ってたけど、マジでそれ。プレイヤーの思いを代弁している。

 

前作では登場が遅かったので、今作はちゃんと春の見せ場が多くて良かった。

それだけでなく、春の成長にはスポットが当たっていたのもファンにとっては嬉しい。

真の意味で父『奥村邦和』の死を乗り越えた春の姿はより一層、頼もしくなった。

 

沖縄

謎の研究所と島民

リア充感たっぷりで沖縄を満喫したのに、夜に島民が怪盗団を消そうとしてるのホラーすぎる(笑)

異変にいち早く気づき、さらに研究所で島民を気絶させた善吉、有能。

沖縄の現実世界での立ち回り、善吉にだいぶ助けられている。砂浜に埋められるイタズラをされてたけど(笑)

 

謎の声とソフィア

ネガイの塊が隠されたジェイル最深部では、ソフィアの存在を否定する謎の声に竜司が噛みつく。

噛みつきまくる竜司に「おいおいスカル」とモルガナがなだめようと見せかけて「だが今は許すっ!!」と言い、一緒に「バーカバーカ」と言う場面は、普段から売り言葉に買い言葉という2人だけど、なんやかんやでこの2人は仲間想いの似た者同士。

この2人に他のメンバーは呆れていたけど、『ロックキーパー』を倒したあと、ソフィアが自分のことで怒ってくれたことを嬉しがっているのは、怪盗団の絆を感じる良いシーン。

 

京都

長谷川善吉ペルソナ覚醒

まず善吉が旅館にハメられた怪盗団を庇って逮捕されたものの、『新島冴』弁護士の活躍で釈放された展開がアツい。

前作のコープキャラがほとんど出演しなかったが、前作を経て正義を実行する『新島冴』を見れたのが最高。

冴が取調室に来たときの善吉の顔、ポカンとしてておもしろかった(笑)

その後善吉の娘『茜』のシャドウに捕まってしまった怪盗団を救うべく、双葉とジェイルに潜入。

スニークミッションはそんなに難しくはないけど、ちょっとドキドキする。

 

善吉のペルソナ覚醒は、僕が『P5S』で一番アツいと感じたシーン。

『P5S』を始める前までは「新キャラも出てくるのかー」くらいにしか思ってなかったけど、今では『ペルソナ5』で一番好きな男性キャラかもしれない。

『心の怪盗団』と『長谷川善吉』の違いは「世間や権力の怖さと現実を知っているか」に尽きる。

『心の怪盗団』は全員ある意味世間知らずの学生で、かつ良い仲間に恵まれているから、まっすぐな思いを持っていられる。

しかし、善吉は組織人で世の中にはどうしようもないことがあることを知っている。

実際に善吉は妻の『葵』を殺した衆議院議員の『大和田純』逮捕の証拠を揉み消される。

「捜査をやめろ、さもなくば…」「茜を殺す」と脅され、なすすべもなく『茜』だけは守ることにした善吉は警官として腐ってしまう。

鏑木管理官に拾われ、鏑木を出世させることで自分の正義を通すしか無念を晴らすことを信じるしかなかった。

 

茜に「その為に警察官としての誇りを捨てたんだね」と言われ、自分も大和田と同じだとハッとさせられるが、どうしようもなかった善吉は狼狽える。

娘には説教され、怪盗団に諭され、自分の情けなさを自覚しながらも、真の悪党を倒すため再び立ち上がる。

 

そんな善吉にペルソナが覚醒。

ペルソナ覚醒で苦しむ善吉の動きに反して、善吉の影が鋭い眼光が善吉を睨む演出は、今まで権力や組織にがんじがらめになり捨ててしまった自分の誇り、すなわち『反逆の意志』であろう。

「バルジャン!」

の叫び声と共に溢れるペルソナのエネルギー。

現れる善吉のペルソナ『バルジャン』。

「…俺はもう見逃さねえ。」

「本当の悪党を…一匹残らず!」

善吉のペルソナ覚醒は何度観ても、鳥肌が立つくらいエモーショナル。

 

「俺のことは『ウルフ』と呼んでくれ。」

「俺はもう犬じゃねえ。1匹でも悪に食らいつく狼になってやる。」

も善吉の決意が現れていて良いセリフ。

 

善吉の境遇ほど極端でないにしろ、社会人のプレイヤーは善吉に共感できるところが多いのではないだろうか。

巨大な権力になすすべもなく、組織人として過ごすだけだった善吉が、心の怪盗団との交流を通じて、再び娘と向き合い、真の悪党を逮捕しようと奔走する姿は、スカッとする。

 

大阪

怪盗団VSヒーロー・アキラ

『近衛明』が『EMMA』を使った改心を始めたきっかけは『P5R』の『丸喜拓人』で、どんな手段を使ってでも世界を牛耳ろうとしている野心は『獅童正義』といった印象を受けた。

自分の理想を声高に主張し、世界進出を狙う様は、昨今のインフルエンサーをモデルにしてそう。

大阪ジェイルの探索中、人情味溢れる新世界が無機質で整理されている街並みとなっていることに対し、怪盗団メンバーが「つまらなくなっている」旨を話す。

ビジネス系インフルエンサーって合理的な主張が多いけど、それに対する皮肉だろうか。

 

シャドウ近衛の「私とお前たちでは何が違う!」という主張に、

「怪盗団は、みんなを牢獄の外に連れ出してくれる。」

と反論するソフィアはこの旅での成長が感じられて良い。

 

アーマー・ゼフィロス戦のBGMに『Rivers in the Desert (Remix)』が流れ、前作の『シャドウ獅童』戦を思い出させるアツい展開に。

ヒーロー・アキラ戦の『Counter Strike』も良曲でテンションが上がる。

 

深淵のジェイル

ソフィアペルソナ覚醒

『聖櫃』となった『EMMA』が消えたあと、一ノ瀬久音が登場。

「自分には心がない」と思い込み、「心を理解するため」に『ソフィア』を生み出したが「心とは何だ?」と聞かれ狼狽える一ノ瀬は、『ソフィア』を廃棄してしまう。

そして「心は必要なものなのか?」と『ソフィア』のプログラムと相反する『EMMA』を開発。

この『P5S』のストーリーを振り返り思えば、『ソフィア』は『一ノ瀬久音』だった。

同じ鼻歌「~♪」と初期の合理的だが冷徹な発言、そして「心がないからわからない……」と思い悩むところまで……

 

一ノ瀬に「怪盗団を排除」するよう命令されるが、抗うソフィア。

怪盗団との旅を通じて『心』について学び続けたソフィアに『心』の力が宿り、ペルソナを覚醒させる。

終盤でかつAIにもペルソナが覚醒する展開もかなりアツいものがある。

もしかしたら、ソフィアは一ノ瀬に残された良心だったのかもしれない。

最後は一ノ瀬を止めて、ソフィアが一ノ瀬を説得で改心する。

善吉が「まあ、娘の言葉ってのは刺さるもんだ。」と共感しているのも良いね。

 

キャラクター

主に『心の怪盗団』メンバーについて感想を書く。

主人公 (ジョーカー)

前作はいかにも『運命の囚われ』だったが、今作はベルベットルームの檻に囚われている演出がよくわからないくらい『P5S』の最初から最後まで『反逆の意志』を持つ『ジョーカー』。

バッドエンド分岐の会話選択肢が出ないし、前作の『ヤルダバオト』戦に向かう前くらい、本当にブレない。

まさに「(心は)強くてニューゲーム」。

アクションは『スマブラSP』と同じくらい強くてスタイリッシュでカッコいい。

相変わらず口数は少ないが、要所で仲間想いの一面を見せる彼は紛れもなく『心の怪盗団』のリーダー。

 

モルガナ (モナ)

主人公の相棒的存在『猫ガナ』。(ソフィアの『猫ガナ』呼び、結構好き。)

今作も推理・ナビ・にぎやかし担当。

「自分が何者かわからない」ソフィアの気持ちを理解するところは、前作で同じことに悩んだモルガナの優しさを感じる。

また「仲間をよく見ているんだな」と感じ取れるセリフが要所にあって、仲間想いな一面が垣間見れる。

 

坂本竜司 (スカル)

『心の怪盗団』の特攻隊長兼にぎやかし担当。

竜司はあまりジェイルの王に深く関わろうとすることはないが、仲間のことになるとすぐに体が動くところは前作と同様。

『夏芽安吾』にナンパされる春を助けたり、沖縄ジェイルの最深部でソフィアの存在を否定する何者かに噛み付いたりする。

ジェイルの鳥かごの結界に手を触れ続けたり、他のメンバーによくいじられたりと本人からすると「扱い雑か!?」思うが、前作のようにうるさすぎず、要所で言うところは言うといった感じでメリハリのあるキャラになった。

『ペルソナ5』の製作陣は『P5』の反省から、竜司を繊細に作っているのかもしれない。(前作は脚本の犠牲になったと言われている。)

 

高巻杏 (パンサー)

ジョーカーと同様に彼女の心も強くなっていた。

前作は後半であまり目立たなくなってしまっていたけど、渋谷ジェイルで大活躍。

柊アリスを改心させると決めてからのアン殿は、ストレートでカッコかわいい。

現実でのファッションは、お腹も脚も出ていていかにもモデルしか着こなせない感じが良い。

浴衣も水着も女性キャラで一番絵になる。「心の怪盗団のファッションリーダー」。

僕は終始モルガナみたいな顔で、アン殿を観てた。(1回もパーティから外さなかった。)

 

喜多川祐介 (フォックス)

『P5S』も祐介が変人すぎておもしろい。

むしろ前作からパワーアップしているような気がする(笑)

仙台に向かう道中でカレーのおかわりがなくなって落ち込んだり、牛タンを食べて泣き、一ノ瀬久音が怪盗団と話している最中も黙々と食べ続けたりと、真のように「普段の食生活、大丈夫なのか……」と心配になる場面は笑ってしまう。

気に入られているであろう双葉との絡みはもちろん、高級旅館でも涙を流すところも笑いどころ。

普段は変なキャラだが、仙台での活躍とのギャップは、中の人が他にそんな感じのキャラを演じていたこともあり、祐介のカッコよさが見事に表現されている。

 

新島真 (クイーン)

真は良い意味で、怪盗団から一歩引いた目で見ている感じの印象を受けた。リーダーは会話分岐でボケられるし。

基本的にツッコミ役で真面目な印象を受けるが、沖縄ジェイルでの怖がりかたは、前作の佐倉家と同様におもしろい(笑) 確かに沖縄ジェイルは暗くて怖いけども。

少し見せ場が少ないかなと思ったが、自分と同じ境遇の茜とのやり取りが良い。

 

佐倉双葉 (ナビ)

戦闘の後方支援担当。

惣次郎と主人公はもちろん、祐介にも結構なついている。

「おイナリ」呼びは前作からだが、仙台を出発する前に主人公と祐介に顔出しパネルをやらせて撮影したり、祐介とカレーをおかわりしたりするところは微笑ましい光景。

さらに善吉にも、なつきはじめた感ある。

双葉に関しては女性キャラよりも、年上のお兄さんやおじさんキャラとの絡みがおもしろい。

 

奥村春 (ノワール)

『P5S』で一番好感度が上がったかも。

真とは対照的に結構かわいさが前面に出ている。

前作は登場が遅く出番が少なかった分、札幌での活躍を通しての成長も印象的だった。

アクションでは、春でペルソナを使うときの

「ペールーソーナー!」

のボイス、めっちゃ良くない!?(かわいい)

福岡から京都に向かうときの春は、某警察漫画の白バイ警官を思い出した(笑)

朝に福岡を出発したのに、昼に京都に着いてるのヤバすぎる。

 

長谷川善吉 (ウルフ)

始める前や序盤は怪盗団と同じように冷徹さと胡散臭さから「なんだ?このおっさんは?」と思ってしまうが、仙台で迷子の子どもを保護しようとしたり、怪盗団の片棒を担いだりしたあたりから、怪盗団のメンバーと同じように善吉の印象が良く見えてくる。

容赦ない「おっさん」呼び、沖縄で砂浜に埋められるなど、学生の中におじさんが1人ということもあり、怪盗団にめっちゃイジられてるの、めっちゃ笑う。

仕事はできるが隙のあるイジられキャラでプレイヤーの腹筋を攻撃しつつも、ペルソナ覚醒までの過程は大人のプレイヤーなら共感できる場面で、それ以降の活躍もカッコいい。

また善吉の敵に対するセリフは、怪盗団のセリフを引き立てている。

修羅場をくぐり抜けてきた怪盗団のキャラに負けていない存在だし、怪盗団の存在をより一層引き立てる役割も担っていて最高のおじさんキャラ。

本人に直接は言いたくない気がするが「イケオジ」だ。

 

ソフィア (ソフィー)

「私には心がない」と言い張る『一ノ瀬久音』が作ったとは思えないAI。

繰り返しになるが『一ノ瀬久音』の残された良心が生んだ存在と言っても過言ではないだろう。

キャラデザインは杏が言うように「モフモフしたくなる」し、ソフィアがジェイルで話すとき腕をパタパタする仕草がめっちゃかわいい。

「人の良き友人になる」命令と怪盗団に拾ってもらった幸運が重なり、「心」を学び続けた旅の集大成でペルソナ覚醒は最高の展開。

 

まとめ

前作『ペルソナ5』とストーリーの流れは似ているが、『ジェイル』と『王』の仕組みを『パレス』から変えているところは、ひと工夫あった。

『P5S』の怪盗団が『強く明るい存在』であるのに対して、根っからの悪人揃いのパレスの主とは違い、自分や世の中を変えるために頑張っていたのに、途中で道を踏み外してしまった『王』のキャラクターは『弱く暗い存在』として対比になっている。

王や一ノ瀬は怪盗団を『心の強い存在』として見ているが、前作の怪盗団はそうではなかった。

モルガナの一ノ瀬に対するセリフ、

「ワガハイは見てきたぜ。コイツらはミンナ、絶望から這い上がった。」

「もがき苦しみ乗り越えてきた。強いんじゃない、強くなったんだ。」

「そうやって変われるのが、ニンゲンだろ。」

が、かつて王や一ノ瀬と似た境遇にあった怪盗団を示す象徴となっている。

 

だから『P5S』の『心の怪盗団』が『王』を諭す姿には、成長した頼もしさがありつつ、王に寄り添う優しさを感じるシーンになっていて、ゲームの進め方は前作とあまり変わらないはずなのに、感動せずにはいられなかったのだと思う。

 

前作の終盤で出番が少なく感じた杏と祐介、そして怪盗団への加入が遅かった春については、王に肩入れさせることによって、ジェイル攻略で目立つことができていた。

それでいて、他の既存のキャラが全く目立たないということはないし、新キャラ2人が個性的で背景も含めておもしろい。

ペルソナ覚醒はどちらもアツいし、自身がフィーチャーされることもあれば、既存のキャラも良い感じに引き立てていることもある。

キャラが多いのに、散らからずに、誰かが目立ちすぎることもない。

「成長した既存のキャラを使って、続編をここまで面白くできるか!?」と感動すら覚えた。

大抵の続編は面白くなくなる傾向があるのに、『P5S』は前作に匹敵……

……いや、前作よりも良い気がする。(もちろん、前作があっての今作。)

 

前作『ペルソナ5』と同様に王道で、昨今よくある『AI』を絡めた『P5S』は、既視感があるかもしれないが、それがわかっていたとしても、よくまとまっていて、アツい気持ちになる最高のストーリー。

『ペルソナ5』『P5S』最高!!!!!

 

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