【感想】『PERSONA5 the Stage #2』(舞台ペルソナ5 パート2)

2019年12月29日、『PERSONA5 the Stage』大千秋楽で次回作の公演開催が発表された。

【感想】ペルソナ5舞台『PERSONA5 the Stage』

「10月か……待ちきれねぇ……」

とぺごステロスになりつつも、僕は舞台で気になった高巻杏役の『御寺ゆき』さんが、ゼロイチファミリア所属のマジシャン・女優だと知り、今年の1月ゆきさんが勤めるマジックバーを訪れた。

そのことをきっかけに、御寺ゆきさんの追っかけを始める。

ゼロイチファミリアのタレントが多く出演する『イマドキ撮影会』にも足を運び、ゆきさんをモデルにポートレート撮影も始めてみた。

新型コロナウイルス対策による『緊急事態宣言』の自粛期間中は、お金を払って通話ができるアプリ(Talkport)でゆきさんとの会話を楽しみ、自粛期間明けからは再び撮影会に通う。

もちろん、彼女の出演したテレビ番組も観ている。

 

『ペルソナ5』の原作も好きなので、『スマブラSP』のオンライン対戦でジョーカーVIP達成したり、

 

今年の2月に発売された『P5S』も遊んだりした。心の怪盗団の後日談を描いたこの作品も最高。

(難易度HARDで1回も杏ちゃんを4人のパーティから外さずにエンディングまでクリアする謎の縛りプレイをしてた。)

【ネタバレなし感想】『ペルソナ5 スクランブル ザ ファントム ストライカーズ (P5S)』

【ネタバレあり】『P5S』を語る

 

御寺ゆきさんの追っかけやペルソナ5のコンテンツを楽しみながら、2020年10月1日ついに待ちに待った『PERSONA5 the Stage #2』の初日公演が開演。

コロナ禍のご時世の中、2020年10月18日大阪大千秋楽で全ての公演を終えた。

僕は今回11公演を全通したが、何回観ても素晴らしい舞台だったので、本記事に感想を書いた。

 

補足

・このブログの管理人は『スマブラSP』きっかけの『ペルソナ5』ファン。

前作は20公演中5回観劇した。

・高巻杏推しであり、彼女を演じる御寺ゆきさんのファンでもある。(2020年10月時点でファン歴10ヶ月)

注意

ストーリーなどのネタバレを含む感想なので、見たくない方はブラウザバックを推奨します。

 

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目次

会場の様子など

感染症予防対策

新型コロナウイルス感染予防対策で、入場時に検温、手のアルコール消毒を実施。

席は前後左右を開ける観客の席配置となっており、席には任意で装着するフェイスシールドが置かれていた。

モルガナのナレーションでも感染症予防の呼びかけ。(フェイスシールドを『仮面』と呼んでいた。)

カーテンコールもあっさりしており、出演者挨拶(主人公のみ)は横浜と大阪それぞれの千秋楽以外なし。

また終演後は列ごとの規制退場で後方から順番に退場。

 

舞台装置

前作からステージ上の台が変わっている。

ステージ上の台は、中央の台が特に動かない台で0番に向かって2段だけ階段があり、ステージの上手下手それぞれ両側にある階段付きの台は制限なく動く。

マダラメパレスで可動式の台に怪盗団が4人で乗る場面で「ようあんな狭いところに4人乗るなあ」と思った。

台の絵柄も違う。前作は渋谷っぽい景色が描かれていたが、今作は落書きされている壁のようであり『TAKE YOUR HEART』などが書かれている。

 

横浜公演

会場の『KT Zepp Yokohama』は僕の家の近所。徒歩5歩とまではいかないものの、すごく行き帰りが楽だったのは地元民としてありがたかった。

しかし、舞台を観る会場としてはお世辞にも良いと言えない。(スタンディングでライブを楽しむには、いい箱なんだけど。)

僕は椅子が固いことよりも客席の後方に列ごとに段差がついてないことのほうがイヤだったね(笑)

そんなことは主催者も承知していると思うけど、たぶん舞台向けの箱が取れなかったんだろうな……

 

大阪公演

大阪は舞台用の会場で良かった……

『サンケイホールブリーゼ』は1階後方がめちゃくちゃ観やすかったし、前方も臨場感がある。

その分2階席がステージに対して高めになっているような気がしたが、双眼鏡使えば問題なく観れた。

 

全体を通しての雑感

時系列順に気になった場面の感想を述べる。

斑目編

最初はルブランの屋根裏の主人公がベルベットルームの場面から目が覚めてスタート。

主人公が惣次郎に名前を紙に書いて教えるところで、観客から応募された名前がモニターに映し出される。

惣次郎に少し煙たがれながらも、学校に向かいオープニングへ。

『Wake Up, Get Up, Get Out There』が流れた瞬間、一気にワクワクして何回観ても顔がニヤけた(笑)

 

僕は杏ちゃんが好きだから、あばら家の開かずの扉を開けるために杏ちゃんが裸婦画モデルをやると見せかけて時間を稼ぐシーンを斑目編で一番楽しみにしていた。

原作の通り、杏ちゃんが重ね着をして登場(笑)

杏ちゃんの『演技してるつもりだけど、大根役者』なところが再現されていておもしろいし、杏ちゃんが投げた服が祐介に当たったときの祐介の声が情けなくてめっちゃ笑った。

特に服が祐介の頭にクリーンヒットしたときは、客席から笑い声が。

異世界がステージ台上、現実世界がステージ上で2つな世界を1つのステージで見せていたが、開かずの扉が開き斑目をそれを認知した瞬間、マダラメパレスの扉も開く演出が結構好き。

開かずの扉の向こうにある『サユリ』の贋作がバレて、化けの皮が剥がれる斑目。

慌ててウソをつく斑目に対し、疑いの目を向ける杏ちゃん、本物の『サユリ』を見つけて困惑する祐介、全員良い。

しかし、この後の構成に疑問が残る。

正直に言うと初演を観たときに、斑目編の構成は少し大雑把に感じてしまった。

休憩時間のときに「あれっ?」と違和感を覚える。

(2回目以降の観劇は、舞台を楽しみつつもその答えを考えながら観ていた。)

前作が逆に丁寧すぎたことと、怪盗団が祐介をかばいながらパレスを逃げるシーンが少し長すぎたことが、たぶん原因。

これらの要因でギャップが出来た結果、僕の中で違和感を感じたのかもしれない。

前回よりも殺陣を増やして視覚的に楽しめるようにしたかったのかな。殺陣にこだわらなくても、例えば今回省かれていた絵の中に入る仕掛けに挑戦しても良かったのではと思う。

いや、それよりもパレスに困惑する祐介を見せたかったのかな。もしくはその両方。

出演者の殺陣は素晴らしい。特に主人公が祐介の肩越しに敵を撃つシーンはカッコよすぎる。

他の構成は金城編を含め、原作をうまく舞台の尺の中に落とし込んでいてまとまっていた。

 

祐介のペルソナ覚醒は興奮した。

前作もそうだけど、ペルソナ覚醒エモすぎる(笑)

怪盗服姿の祐介が出てきたときに、スモークが青く照らされてブフ系のスキルっぽく見えたのが、原作再現で僕の中でポイントが高い。

 

その後は前作の杏ちゃんのペルソナ覚醒後と同様に、一旦セーフルームに引き上げてから、パレスのオタカラルート攻略。

原作のマダラメパレスの終盤にある『サユリ』の本物贋作を見極めるギミックや怪盗団全員で協力してセキュリティをかいくぐりオタカラを盗む過程が再現されていた。このあたりは原作に忠実。

前作の『カモシダ・アスモデウス・スグル』戦のモニターの中で王冠を奪ったモルガナのように「ワイヤーに吊るされたモルガナがモニターに出てくるのかな?」と思っていたら、上からぬいぐるみのモルガナが出てきて笑った。(個人的には異世界でも2次元と3次元を行き来するモルガナが観たかった。)

 

その後、盗んだオタカラが偽物のオタカラだと気付いた怪盗団がシャドウ班目と対峙。

『マダラメ・アザゼル・イチリュウサイ』の目と鼻と口の絵は黒子の方々が動かしていて、絵の動き方が結構原作のように生き生きとしていた。

雑魚敵戦は『P5S』の無双系に近いけど、ボス戦は『P5』『P5R』のターン制バトル感ある。

 

マダラメの黒塗りにする筆に苦戦するところで、第1幕が終わり。「ここで一旦終わりなんだ」と思った。

ちょっと意外な気がしたけど、前回も竜司のペルソナ覚醒前で第1幕が終わったから、区切りが良いのはここかと納得。

休憩明け第2幕の初めに第1幕の終わり直前のテンションで芝居する出演者の方々、メンタルの作り方が気になる。

 

第2幕開始後、祐介が筆を奪って逆にマダラメを黒塗りにする動きがカッコいいし、目と鼻と口の絵が裏返しになって黒塗りにされた絵が出てきてボス攻略の流れが鮮やか。

怪盗団全員が銃を持って『HOLD UP!』で斑目に迫るところも最高。

最後は祐介のペルソナスキルから、振り向きざまに刀で切る攻撃でマダラメを倒す。

ペルソナのスキル攻撃も祐介の攻撃もカッコよすぎて、第2幕が始まって時間が経っていないのに再び興奮した。

 

異世界から戻ってきたときに『真実のサユリ』を祐介と杏ちゃんが2人で眺めているシーンも良いな……

斑目の個展では杏ちゃんが絵を褒めているのに、祐介の盗作された絵だから素直に絵の良さを語れなかった祐介が、今度は絵の良さを人と共有できてるのがエモい。舞台を観て改めてそう思った。

 

金城編

金城編のことを語る前に、テレビ局の社会科見学が舞台で丁寧に描かれていたことに驚く。

あの『パンケーキ』のくだりはもちろん、明智が出演するテレビ番組では主人公との討論は原作を踏襲しつつ、明智と主人公のライバル関係がよりクローズアップされる演出となっている。

テレビ番組の場面は原作にいない三島と川上先生の芝居も良くて僕はそっちが結構好きだった(笑)

 

テレビ局の後の学校で真と杏ちゃんがお互いにキツく当たるシーンは、お互いに揚げ足を取り合う言い方がすごく良い。原作と同じようにバチバチしてる。

真に『(志帆に)友達として何をしてあげたの?』と言われたときに、やり場のない怒りで感情的になる杏ちゃんは前作の悔しさと悲しさを思い出させる。

原作には無かったけど、感情的になる杏ちゃんを主人公が気遣うところが追加されているのも地味に良い。

 

ルブランの怪盗団の祐介歓迎会鍋パーティと新島家の食卓を並べて対比させる演出は、良い意味でズルい(笑)

斑目編の開かずの扉を開けるときの演出は現実世界と異世界の対比だが、こちらは『居場所を見つけた仲間同士』と『冷え切った姉妹仲』が対になっている。

新島姉妹が会話しているときは、怪盗団が和気あいあいとしているので、真の想いがさらに切なく感じる。

その一方で怪盗団は『Beneath the Mask』をBGMにお互いに過去の話をして、さらに結束を深める。

怪盗団はポジティブな場面なのに、これも真との溝を大きくしているようにも読み取れる。(次の場面は真と明智の会話だし。)

金城のいるクラブに乱入してしまう場面まで、真と怪盗団が真逆の立場であることがわかりやすくなっていた。

 

真の心情の変化は原作通り。

生徒会長の範疇を超える仕事を校長に押し付けられ、明智には「言いなりのいい子ちゃんタイプなんだね」と言われる。

さらに姉の冴には、

「今のあなたは役立たず。私の人生を消費して生きているだけの存在!」

と自分の存在を否定される。

怪盗団(特に杏ちゃん)とは売り言葉に買い言葉といったありさま。

普段はしっかりしている真とはいえ、1人の高校生の心がだんだん追い詰められて、最後無茶な方向に爆発してしまう過程が全部丁寧に描かれているし、真役の七木奏音さんの好演もあって素晴らしいシーンの連続。

 

真のペルソナ覚醒もめっちゃテンションが上がる。

まさか原作通り、真のペルソナの『ヨハンナ』にまたがりながら登場するとは……

今作はマダラメ戦の絵やATM人間もそうだけど、小道具・大道具にもめちゃくちゃ力が入っている。

 

真と杏ちゃんの和解について書かないわけにはいかない。

金城編で僕が一番好きなシーンであるが「もしかして、このシーンないのでは?」と懸念していた。

制服と怪盗服の着替えの手間を考えると、杏ちゃんや祐介のペルソナ覚醒後のように異世界から戻らず、そのままパレス攻略をする構成にして、省かれてもおかしくなかったシーンだと思う。

しかし、このシーンを舞台でもやってくれた!!

僕の極私的な見方だが、原作よりリアルな分、原作よりも好き。尊い。

2次元キャラのシーンが役者の力で、3次元に『よりリアルな人間ドラマ』として描かれる……ここに『2.5次元ミュージカル』の真髄を見た。(改めて『2.5次元ミュージカル』の醍醐味を再確認できた。)

真と杏ちゃんのわだかまりがなくなり仲良く2人で舞台袖にはけたあと、『Price』アレンジのイントロが流れてきた瞬間、2人が仲良くなった多幸感とイントロのキマリやすさで脳が溶ける。ドーパミンやエンドルフィンが脳内で大量に放出されていたと思う()

真と杏ちゃんの和解から『Price』アレンジの流れヤバすぎない!?エモすぎて11回死んだ。

①真と杏ちゃんが和解する

『原作よりも好き…最高だ……』

『生きててよかった……』

(大げさな限界オタク)

②『Price』アレンジのイントロが流れる

『や”っ”た”あ”あ”ぁ”ぁ”ぁ”ザイ”ゴオ”ォ”ォ”ォ”(以下略)

(偏差値3の猿)

この興奮を僕の心の中で、全く飽きずに11回繰り返してた()

同じ舞台を何回も観てるのに、毎回同じところで興奮して高いテンションで観てるの、自分で自分が恐い()

 

話を戻してカネシロパレス攻略。

アレンジ版『Price』をBGMに、まずは怪盗団の男性組がシャドウと戦闘。

主人公/竜司/祐介1人ずつシャドウと戦う演出があり、それぞれにスポットライトが当たる。

この戦闘もめちゃくちゃカッコ良すぎて鳥肌が立つレベル。

特に祐介は刀と鞘を使ってるのが、舞台映えしすぎてヤバい。鳥肌立った。

そして真と杏ちゃんが登場。ヒロインは遅れてやってくる。

真がシャドウに鉄拳制裁を入れた後、杏ちゃんとハイタッチして2人が仲良くなったことがわかる場面は、原作の怪盗団グループSNSの補完として十分だ。

 

真のコードネーム決めで、シャドウを戦いながら他のメンバーのコードネーム案にダメ出しをする場面も好き。

祐介の全部漢字表記になりそうだけど、中学生が思いつきそうなコードネーム案は毎回笑った。

コードネームを決めた後『行きましょう…クイーン!!』と主人公が言って、真以外の怪盗団メンバーがひざまずくのも良すぎる。

 

カネシロパレスの攻略は、原作の最深部のフロアを再現。

原作通り敵を倒しながらメモを拾っていき奥に進んでいくが、テンポが良く爽快感がある。

オタカラルートを見つけ『改心させよう。金城を!!』(怪盗団全員で飛んで振り向く)もカッコよすぎる(笑)

真と杏ちゃんの和解をきっかけに、ここまで興奮を保ったままテンポ良く進む構成は、まるで音楽ライブのラストスパートのようで最高。

 

『カネシロ・バエル・ジュンヤ』戦はブタトロンがモニターに登場、カネシロがステージ段上でコサックダンスっぽい玉乗りをして原作を再現。

ハエになったカネシロの手をすり合わせたり、玉乗りの動きしたりするなど原作を忠実でありながらも、怪盗団の作戦会議中にダンスを踊ったり、主人公の短剣を拾って思わずハエの複眼を取って確認するなど、笑える要素もありで、金城役の宮下さんが観客を飽きさせない。

金目のものに反応するカネシロに気付いた怪盗団は主人公の武器を投げて気を引き、その隙にペルソナのスキルで攻撃。

カモシダやマダラメとボス攻略の流れが大きく変わるわけではないが、ペルソナスキルで畳み掛けるシーンはアツくならないわけがない。

 

カネシロパレス攻略後は、最後のシーンの真が良い。

真が冴に対して変わってしまったと思いつつも、自分の居場所で頑張ることを決意したシーンが切なくもありながら、怪盗団との出会いで自分を変えることができた真の決意が表れている。

 

音楽

僕は音楽に強いオタクではないけど、あまりにも良かったので書きたくなった。

運営さん……音源ください!!

A Woman

原作の通りマダラメパレスのBGMで使われていたが、原作のままだと舞台に合わないので、アレンジが加わる。

パレスに入った時点では原曲のようなスローペースだが、パレスを攻略していくにつれて徐々にペース上がり、和風アレンジも加わっている。

厳かなイメージと趣きを感じさせる原曲に対し、舞台にマッチし聞き応えのある曲に仕上がっていた。

 

Blooming Villain

『マダラメ・アザゼル・イチリュウサイ』戦では、こちらも和風アレンジが加わっていた。

サビ前に三味線(?)っぽい音がしきりに聴こえ、さらに和風サウンドが日本画をめぐる戦いを演出していて良い。

 

Beneath the Mask

『Beneath the Mask』は原曲で原作通りルブランのBGMで使われた。

斑目改心記念&祐介歓迎鍋パーティでも流れているが、実は原作では別の曲が流れている。

僕は『Beneath the Mask』のほうが合ってるなと思った。

『閉塞感』を感じる心情が歌詞のこの曲をBGMに、怪盗団がお互いにそれぞれ居場所がなかったことを知り、さらに結束を深めていくのが良い。

 

Price

ちょっと変わってるかもしれないけど、僕はペルソナ5の楽曲の中で一番『Price』が好き。

(この記事を書いている最中も聴いてる。)

この曲がアレンジで流れてきた瞬間、マジで脳ミソ溶けるかと思った……

『A Woman』と同様に原曲だとゲーム音楽の感じが強く舞台に合わないが、重低音が加わりライブハウスでお酒を飲んで踊りながら聞きたい曲になっていて最高。

昔アイドルオタクしてた僕からすると、カネシロの振りコピ(演者の踊りに合わせて、同じ振りをすること)したかったくらい心と体が疼くクオリティ。

舞台を観ながら今更思ったけど「この曲のタイトルが『Price』の理由って、真や金城が自分の存在”価値”について悩んでいるからかな?」なんてことを思った。(Priceの和訳は値段の他に”価値”がある。)

金城に予告状を出すときから『カネシロ・バエル・ジュンヤ』戦の直前までのBGMは、原作のパレス最深部で流れる『Price -another version-』であり、こちらも良い。

殺陣やダンスと合うアレンジと原作のBGMを使い分けてきたのも、ポイントが高い。

 

Phantom Thieves

舞台オリジナル曲の『Phantom Thieves』を前作で観たときに、正直そこまで自分に刺さってこなかったが、今作は怪盗団のメンバーが増えた分、ラスサビに迫力があってエモくなってきた。

元々竜司のラップは前作からめちゃくちゃ好き。(前作の感想でも書いたけど、竜司にラップさせようとした人、天才では?)

というか、怪盗団のソロパート全員好きになってきたし、千秋楽はエモさで死にそうになった()

 

出演者の感想

主人公/ジョーカー 猪野広樹さん

主役なのに前作よりもセリフが減っているけど、ここぞというときの存在感とカッコよさは、まるで原作を観ているよう。

猪野さんの主人公は、現実世界と異世界でのギャップが大きく演じられている。

現実世界では他人に対しての接し方は仔犬みたいで仲間内ではふざける内弁慶だが、異世界ではオラついている感じ。

僕は主人公そのもののイメージも考慮しつつ、実際のゲームユーザー視点で演じているのかなと考察している。

・現実世界(主人公)≒普段の生活(ユーザー)

・パレス(主人公)≒ゲームの世界(ユーザー)

怪盗団のペルソナ覚醒前ほどではないにしても、普段理不尽などがありながら生活する我々ユーザーがゲームでは自分の思う通りに振る舞う。そんなイメージを演じているのではないだろうか。

クールで完璧に近いイメージの主人公を思い浮かべている方は猪野さんの主人公のイメージと合わないかもしれない。

と書いていたら、大阪では主人公の解釈を変えてきているツイートも結構見かけてアレ!?ってなってる(ブロガー失格)

 

あとは前作のように笑いを結構入れてこようとする。肘をクイクイさせるのが下手なの毎回笑った。

竜司役の塩田さんとの掛け合いは、仲の良い男子高校生2人を観ている感じ。これはすごいリアル。

殺陣は現実世界で抑圧された感情が戦闘に表れている好戦的なジョーカーって感じがする。

人によってはジョーカーはもうちょっと上品に立ち回るよと思うかもしれないが、華があることには間違いない。

『スマブラSP』のうまい人のジョーカーや『P5S』のボス戦ノーダメージクリアできる人のジョーカーを観ているようで強くてカッコいい。

 

坂本竜司/スカル 塩田康平さん

僕は元々竜司が好きではなかったが、前作で塩田さんの竜司を観て、すごく竜司への印象が良くなった。

原作から出てきたかのような竜司の振る舞いとやんちゃな調子のいい高校生という感じが今作も良い。

塩田さんについて特筆すべきは、『フォローの神』!!

中でも杏ちゃんがマダラメパレス攻略したのに、コードネーム決めの話をしてしまった回のフォローはそれ笑いに持っていけるのすごすぎる(爆笑)」ってなった。

マダラメパレスで祐介ペルソナ覚醒前の主人公がスカルに「行くぞ!フォックス!」と言ってしまった回も、祐介のコードネーム決めで伏線回収していてめっちゃ笑った。

出演者のミスを全部フォローして笑いに持っていくのすごすぎる。

 

主人公のあだ名のセンスも毎回笑う。竜司がマジでネーミングしそうな感じなのもすごい。

『東堂』が『トゥードゥー』っておもしろすぎるでしょ(笑)

テレビ局の番組シーンで一々主人公がいる後ろを向くの好き。クラスに1人はああいうやついる。

原作は主人公/竜司/杏なんだよね。席の配置が。

舞台だとそういかなくなったが、『竜司の席が前になったとしたら……』をうまく表現している。

 

高巻杏/パンサー 御寺ゆきさん

全通するんだから、推しだけでなくもっと他の出演者の方も観ようと思いつつ、なんやかんやモルガナみたいな顔でゆき杏ちゃんばかり観てた。

杏ちゃんのペルソナ覚醒や鴨志田編は前回で終わったけど、今回のほうが出番が多い。

それに斑目編と金城編における杏ちゃんは裏主人公ではないが、キーパーソンである。

斑目編では祐介が絵のモデルとして杏ちゃんを見つけることでストーリーが加速していき、開かずの部屋の鍵を開けるおとりで(仕方なく)祐介の絵のモデルを引き受けるシーンはコメディ要素がありつつも大事な場面。

金城編では真と怪盗団のいざこざが無くなり、真の居場所が怪盗団になる話の象徴が真と杏ちゃんの和解といえる。

よって、今回の杏ちゃんは前回からいる怪盗団の一員と見せかけて、重要な役割を担っている。

 

さらに前回の鴨志田編ではストーリー上、杏ちゃんのシーンの大半が『悲しむ』『怒る』芝居だった。

喜怒哀楽の『怒』と『哀』だけ。『喜』の部分はビッフェでスイーツを食べていたところくらい。

鴨志田編以降に見せる本来の『天真爛漫』さをどう演じるかもポイント。

 

これらのことは杏ちゃんを演じる御寺ゆきさんにとって、前作にはない新しい挑戦となったはず。

今作を観るにあたって原作を見返したり、前作のDVDを観たりしたけど、芝居上手くなってる……

ゆきさんの杏ちゃんを観て思ったのは、一つ一つの喋り方やリアクションに磨きがかかっていた。

挙げるとキリがないので、例えば「えっ!?」と驚く芝居一つ取っても、原作杏ちゃんの会話を思い出させる。

彼女の芝居を見るたびに、原作の顔入り会話テロップやカットインが脳内に流れてきた。

きっと原作をかなり研究してきたんだろうな……

 

前作よりも良くなっていたし、今作の中でも良くなっている過程が観れたし、全通して本当に良かった!!

御寺ゆきちゃんしか勝たん!!!!!

 

斑目編

斑目編での見せ場である『ヌードモデルをやると見せかけて時間稼ぎ』は大根役者の芝居とコメディアンヌ要素が観れた。

横浜最終日あたりで結構良くなってきていて、『杏ちゃんは演技をしているつもりで芝居はノリノリだが、実際はめっちゃ大根役者』って感じがすごく伝わってきた。

その後、サユリを見つけて最初は驚きながらも斑目の主張を次第におかしいと感じてくる表情の変化も良い。

「ウソっぽいんだよね!!」の語尾の言い方好き。

 

金城編

仲間には優しいけど、その分真への当たりの強い杏ちゃんも良い。

真にキツく当たる杏ちゃんを観て、キャラクターへの感情移入よりも「めっちゃ良い……」と思いながら観てた回もある(笑)

真との口論で「(志保に対して)何も出来なかったよ!!」と感情をあらわにするシーンは、前作の悔しさと悲しさを再び思い出させる演技。

 

真との和解だけど、その前に杏ちゃんの話をもう1個。

杏ちゃんって竜司と一緒に調子に乗ったりもすることもあるけど、少し感情が揺れやすいところがあると僕は思う。

テレビ局での明智の発言に「怪盗続けて大丈夫かな?」と思ったり、志帆に何もできなかった自分が情けなくて、つい真に当たってしまったりと今作に気持ちが揺れる箇所がある。

原作の金城編以降も奥村編で奥村社長をターゲットをするかで揺れたり、最後は(他の怪盗団メンバーもそうだけど)ベルベットルームで弱気になったりと他の怪盗団メンバーよりも感情の浮き沈みが大きい描写がゲームを通して比較的ある気がする。

つまり金城編の主人公は真だけど、その一方で杏ちゃんの成長も描かれている。

真との和解はもちろんだが、このシーンは今作における杏ちゃんの成長物語の締めくくりでもある。

 

それが芝居に出ていた。

人のせいにしてしまった自分を反省して、真に謝る言葉に重みがあった。

このシーンを目の前で観れたときは感無量だったな……

 

その後の「じゃあ、おあいこ?」は杏ちゃんの喋りそのままだったし、

「ま…ま…ま……真?照れるなあ〜」の言い方も友達が少ない杏ちゃんの立場を想像したのかな?めっちゃ好きな芝居。

 

殺陣

前作よりも難易度が上がっているような気がするし、推しへの贔屓とかなしで、彼女が使うムチが一番殺陣で扱いづらいと思っているけど、それを感じさせないパフォーマンス。

ムチの長さを調整して降るのはもちろんだが、味方がしゃがみ、その頭上でムチを振るシーンがいくつかあって「これ毎公演上手くいってるのヤバっ」ってなった。

 

歌唱・ダンスパフォーマンス

歌も上手くなってる……前作よりも歌に力強さが増している気がする。

『Phantom Thieves』のソロパートは、今作を通して成長したアン殿を感じられる歌唱。

そこに御寺ゆきさんの自信もプラスされているような気がして、エモーショナル。

大千秋楽は舞台が終わることの寂しさを感じながらも、この曲を観ながら「御寺ゆきちゃんのファンになって良かった……」と思った。

 

喜多川祐介/フォックス 小南光司さん

満を持して登場。前回の扱いは誰も得しないけど、今回やっと活躍を観ることが出来て良かった。

個人的に原作はCV:杉田智和さんのイメージが強かったけど、舞台の祐介はより高校生感があってリアル。実際に画家を志す少年がいたら、こんな感じなのかもしれない。

杏ちゃんの重ね着して脱いだ服が当たったときに情けない声になるの、めっちゃ笑った。真のコードネーム決めもおもしろい(笑)

あとは大阪公演あたりで結構、シャドウ斑目に怒る祐介など怒りの芝居が良くなっていた気がする。

 

殺陣では長身と刀を使った動きがめちゃくちゃ舞台映えしている。

ペルソナ覚醒後もカネシロパレスでの雑魚敵との戦闘も刀と鞘を使った動きが美しい上にカッコいい。

新島真/クイーン 七木奏音さん

今作のキャスト発表したときに過去の出演作を見たら、ネルケ版セラミュでセーラーマーズ役をやっていたことを知り「あっ、昔ニコ生で観たマーズなんだ!!」とテンションが上がった。(その後、アイドルグループ私立恵比寿中学の初期メンだったことも知る。)

「事務所のプロフィール写真を見た感じ真のイメージに合ってるし、真と性格が近いマーズもやっているし、結構いいキャスティングなのでは?」と舞台を見る前から期待できそうな予感はあったが、まさかあそこまで良いとは……

彼女の喋るセリフがCV:佐藤利奈さんに聞こえてくることも結構あったし、真を完全に理解している芝居だった。

芝居も殺陣も歌唱も全てが完璧。

七木さんがすごいのは、わかりやすいところだと歌なんだけど、接する相手ごとの演じ分けも素晴らしい。

金城がいるクラブに行く前までの真の怪盗団への態度、真であると同時にすごく姉っぽい。冴を感じる。

個人的には原作で真が冴に似てるみたいな感情をあまり抱いたことがないんだけど、怪盗団に強気に出る真、お姉ちゃんに似てるんだよな……

それに対して姉や明智、校長に対しては相手に意見を言うことはあるものの強く出られないところは、高校生が抑圧されている心理描写を的確に演じている。

我々も生きていると無意識に人によって接し方が変わると思うが、彼女はその演技がすごく上手い。

優秀であるがゆえに生徒会長の仕事の範疇を超えることを求められたり、人のために動いているはずなのに人から傷付くことを言われたりして「自分が役に立たない」ことを気にするの心情の変化、最後に「金城に会わせてあげる!!」と今まで溜まってきた感情が爆発するところも大変素晴らしい。

(普段大人しく優秀に見える人ほど、キレると火山が噴火したかのようになる人は、我々の周りにもいると思う。)

 

漫画で顔を隠しながら主人公を尾行するところも原作通りのぽんこつ感でおもしろかったし、いかり肩っぽい姿勢や戦闘での構え方も原作再現で「完璧じゃん……」と思った。

歌唱もほんと最高だった……ブログに感想を書いているのに、うまく伝えられなくて申し訳ないが、「こういうのを人の心を動かすって言うんだろうな……」と感じる歌唱パフォーマンス。

声が透き通っており、かつ声量もある。実に美しい。

初めて彼女の歌を聴いたとき、すごすぎて思わず口から「ヤバっ……」と声が漏れた。

初演を観てからは彼女のパフォーマンスが楽しみの1つになっていたし、実際に何回観ても感動して、ほんと最高。

 

モルガナ

前作でデカいモルガナを見慣れたかなって思って最前で観たら、やっぱりデカかった(笑)

パレスにいるときのモルガナは、これはこれでゆるキャラみたいでかわいいんだけどね。

現実世界では、主人公のカバンの中で暴れてた。猪野さん、カバンの動かし方うまい。

 

原作と異なるシーンは、斑目編で初めてあばら屋にきたときのモルガナ。

祐介に嫉妬してカバンを飛び出し、勝手にあばら屋に上がり込み、あの開かずの扉を見つけるところが違った。

これのためにCV:大谷育子さんの新録ボイス録ってる?すごい……

 

斑目一流斎 高松潤さん

表の顔と裏の顔の使い分けが原作通り。

表の顔は人当たりの良い爺さんなのに、杏ちゃんと祐介に『サユリ』が見つかって言い訳するときのセコい感じにめっちゃ表裏のギャップが出ていて、素晴らしかった。

怪盗団に負け、育ててやったはずの祐介に「どうしたらいい」と問う情けなさも良い。

 

金城潤矢 宮下雄也さん

キャストが発表されたとき、僕が一番驚いたのが宮下さんの出演。

宮下さんの名前を見た瞬間「遊星!!」ってなった。

(宮下さんの代表作アニメ『遊戯王5D’S』の主人公、ペルソナ5のキャラに例えると主人公に近い。)

僕は遊戯王も好きなので「えっ!?マジで!?金城やるの!?」感じで宮下さんの芝居も結構楽しみにしていた。

 

まず迫力がすごい。

原作の金城は見た目が「なんか…部下のほうがケンカ強そうじゃね」と思うようなイキっているチビデブ感が拭えない雰囲気(悪口がひどい)であるのに対し、宮下さんの金城は原作を再現しつつも『関わったらヤバい人間』で原作よりも良いなと思った。携帯をバン!!って置くところとかヤバいよ。竜司ですらうろたえてるし。

真のペルソナ覚醒前の笑い声もキチガイで外道な悪役そのもの。

怪盗団を芝居でも食ってしまいそうな圧は、いかにもゲームのボスらしくて素晴らしい。

 

部下との日替わりトークも毎回めっちゃ笑った。

「おい、見たか?……真(生徒会長)のイメチェン?」

「普段真面目な女子高生がノーヘルでバイクにまたがって、あんなの全然悪くねぇよな!!」

「2種類の真より2種類の金城だよな!!」

このあたりまでは共通のトークだけど、毎回笑ったし、観客席から笑いがあった。

日替わりのトークでは、やっぱり明智のモノマネ回が鉄板。

明智が出たテレビ番組の「サンタクロースが実在したら、住居侵入で逮捕ですけどね」がめっちゃ似てた。

明智の喋りだけでなくダンスも完コピしてるし、笑わないほうが無理(笑)

 

『カネシロ・バエル・ジュンヤ』の手をこすり合わせたり、ブタトロンの上でのコサックダンスしたりする動きは原作を忠実に再現。

それに加え、怪盗団が作戦を立てているときのブタトロンの上でのダンスや武器を拾ってハエの複眼を取って確認するところで小ネタと笑いも足してきていて観客を飽きさせない動きになっていた。

 

原作のイメージを守りつつも『宮下さんの金城』をうまく出してきたのが素晴らしい。前作の鴨志田を彷彿とさせる活躍。宮下さんの代表作とのギャップを考えると「役者ってすごいな(小並感)」と改めて思う。

 

明智吾郎 佐々木喜英さん

原作でも思ったけど、明智がそのまんまゲーム画面から出てきてた(笑)

主人公と別れたあとのダンス・歌唱のところ、明智様だけ1人で違うミュージカルをやっているような感じで華がある。

怪盗団に対して敵意を向けるなど、少しずつ裏の明智の顔が垣間見れたのも良かった。

ペルソナ5の終盤まで舞台が続くとしたら、どうなるのか観たすぎる。

テレビ局の場面を丁寧にやったし、舞台が原作のエンディングまで続くと思いたい……

 

新島冴 茉莉邑薫さん

明智と同様に原作からそのまま出てきたのかと思うクオリティ。

明智に回らない寿司屋に行かされるときのセリフは社会人感が出てて共感できて好き(笑)

真の発言に対してキツく言い返すところも、出世を気にして心に余裕がなくなっている感じが出てて良かった。

 

そういえば真に言った『今のあなたは役立たず。私を消費して生きているだけの存在』という発言、人として言っちゃいけない言葉だから、この頃にはもうパレスがあったんだろうな……

ペルソナ5の舞台が続くかどうかわからないけど、ニイジマパレスも茉莉邑さんの芝居が観たい。

 

佐倉惣治郎 森山栄治さん

ちょっと気難しそうなところと女の子(杏ちゃん)に対する接し方が惣治郎だった。

カネシロパレス攻略後に買い物をするシーンで、まんざらでもないけど素直じゃない発言をするのめっちゃ好き。

 

前回アンサンブルの方が務めていた惣治郎のキャストが発表されたとき「もしかして『サユリ』をルブランに譲るくだりやる!?」と思ったら、予想が的中。このくだりもやってくれて嬉しかった。

今回は出番が少なかったが、#3の舞台があるとしたら出番が多くなり人間臭いところがたくさん観れるので楽しみ。

 

三島由輝 糠信泰州さん

最初の三島が主人公に『怪盗お願いチャンネル』を作ったことを教える場面や中野原と接触の報告などの喋りが『オタク特有の早口』ですごく良かった。

僕が好きなのが、テレビ局の番組見学シーン。

ここでは主人公でも明智でも推しの杏ちゃんでもなく三島ばかり観てた。

原作に三島はいないが、動きとか表情とか……めっちゃコンテンツにハマりたての信者オタクっぽくて好き。

明智が「本当に正義のヒーローならいてほしいですよ?」の発言には喜ぶ一方で、「法で裁かれるべきです」の発言に思わず立ち上がるくらい怒る。

信じる人は3割の結果に焦る姿や意見を求められて挙手するところは『怪盗お願いチャンネル』の管理人として使命感に燃えていることがうかがえる。

明智に対して主人公が反対意見を言うのを見て「いいぞ、その通りだ!」みたいな顔してるのもめっちゃ良い。

 

僕もオタクなので、三島の気持ちがわかる分感情移入した。

何かにハマりたてのオタク、特にオタク始めたばっかりの頃は自分の好きなコンテンツを否定されるとムッとするというかその否定してきた相手を嫌になりやすい。僕ですらオタク1年生の頃はそうだった。

今の僕のように訓練されたオタクなら「アンチテーゼがなければ、アウフヘーベンは起こらない」と明智のみたいな考え方ができるが、三島は怪盗団にハマりたてで、ましてや実際に鴨志田の体罰から自分を救ったヒーローである。そんな彼が怪盗団に心酔しないはずがない。

三島を演じる糠信さんの芝居から、それらがすごく現れていた。

 

川上貞代 南沙羽さん

事なかれ主義っぽく少し気怠そうに見えるところは前作と同様に原作の川上先生だった。

テレビ局で挙動不審な三島をなだめる場面は「あんな感じの先生いたな……」って思う。

 

校長との日替わりトークも良かった。

窓を開けるところで「ガラガラガラッ」って言うところ好き。

日替わりトークで一番好きなのは、やっぱり原作ファンとしては『メイド服』と『〜する”べき”』に反応する川上先生の回だけど、おもしろさでは関西弁で喋る回もめっちゃ笑った。

 

『べっきぃ』はメインストーリーに直接関わらないけど、メイド服姿はブロマイドにしたり最後の『Phantom Thieves』に登場させたりしても良かったと思う。

前作の鴨志田と校長の掛け合いがめちゃくちゃウケていただけにやりづらさはすごくあったと思うが、川上先生もすごくおもしろかった。

 

校長 山岸拓生さん

特捜部長にタジタジな感じが大人の世界で生きてる人だなって感じが良い。

川上先生との日替わりトークでは、前作との鴨志田との日替わりトークとは違う笑いを提供してくれた。

役柄としての立場が上なのに、川上先生に振り回されがちなのがウケる。

特に大千秋楽は川上先生が今までのネタほとんど入れてきたから、さばくのが大変そうだった(笑)

 

まとめ

前作よりも舞台の全てにおいてパワーアップした今作も素晴らしい舞台だった。

原作で大好きなシーンが再現されていて感動したし、11回の公演を全通しても毎回少年のような心でワクワクしながら観てたね。最高!!!!!

 

舞台の出演者ならびに関係者の方々、このご時世の中、舞台を開催していただき、ありがとうございました。

 

 

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